小潮ノ月

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笠松、生きる

(1562)永禄五年  笠松、生きる
笠松は使いを終えて、牛蔵と一緒に店へ帰路についていた。
大分日も傾き、旅籠を選ぶ旅人や客引きで、路の先が賑わっていた。
牛蔵は笠松と同じ位の歳だが、この店に来たのが先なので先輩風を吹かしている。
笠松は書箱を左手で胸に抱え右手で背の風呂敷包を引き押え、小さな風呂敷包を背負った牛蔵の後ろに付いて歩いていた。

川に沿った路を歩く二人が賑わいの中に混じった時に、笠松は横から誰かに腕ごと体を押された。

わあっ ..

考える暇もなく、笠松の体は道端にある土留を越えて川床に向って落下していった。
河床の岩肌が目に写った。

( まずいやんか ..)

突然ぼすんと、体が震えるのを感じた笠松は、身動きもできずもがいた。
目の前が暗くて、何がどうなったのかも判らなかった。
どうやら怪我もなく、生きている。
笠松はひっくり返った自分の体をどうにかこうにか立直した。
幸い、百姓の誰かが川岸の草を刈り集めて積んであった山に落ちたのだった。
葦の椪積が、笠松の体が川床へ叩きつけられるのを防いでくれた。
笠松は周りを見渡し、ほっと息をついた。

大丈夫だが?お前。

背負い篭を背負った漁師の男が声を掛けてきた。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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