小潮ノ月

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川中島 

(1561)永禄四年 川中島 

( 我ら啄木鳥、虫よ虫、虫虫コンコン、コンコンコン、てか。さてと、さてと。)

真田の槍隊八百は、妻女山にいる上杉勢を追い落すべく進んでいる。
右横は甘利隊千五百、すぐ後ろを相木隊八百が共に歩んでいる。

幸隆は順に繰出す物見から返る、その応答が気になっていた。
そろそろ敵陣に近い筈なのに、相手の物見や素破に出会ったという報せが少ない。

ふむう、こりゃ・・
スカを掴まされるんかな。

父上、何か?

幸隆の側に並んで進む嫡男、信綱が聞いた。
共に愛馬の歩みを隊列に合わせながら、次第に傾斜のきつくなる山肌を進む。
ぼつりと返事を手話で返した。

相手がおらんかもしれん。
( 手応えが無さ過ぎだわな・・ )



横手から、二本の赤い旗差し物を長くしならせた騎馬武者が前方から近づいてきた。
馬の鼻息が荒い。

( 高坂軍の軍使やな .. さては。)

真田殿!
妻女山の敵勢、少なし!
お手前方は急ぎ引返し本隊へ合流されたい!

承知!

相木勢はそちらであるか?

我が隊の真後ろじゃ。

では、御免。

騎馬武者は急いで後方へと駆抜けていく。
幸隆は使番に命じた。

引返す!
前備えの矢野、海野らに伝えい。
幸大、木村、後部隊に伝えよ。
良いか!我らが向うは八幡原じゃ。

幸隆は鐙に足を押え付け、しっかり馬体を挟んだ。
ゆっくりと馬先きを巡らす。
隊列が、揃って信濃川へと向うのを待った。

者共、行くぞ!

( やっぱりや。さすが政虎やな。敵ながら天晴、としか言えんわな。)

...

ようやく戦闘に加わることができた。

間に合ったか ..

幸隆は馬上で周りを見渡し、皆の体制が整うのを待った。
もうもうと砂塵が舞い、大音響が混じり合い、なかなか戦の全容が判らない。
微かな断片を拾い集めて推し量るしかなかった。
大将の器量が問われる。

鬨の声を上げ、先に相木隊が突っ込んでいく。

( 急いてはならぬ。)

者共、慌てるでない!
力を溜めよ!

幸隆は皆の勢いを計る。
真田の軍が一色に揃った。

行くぞ!
かかれい!

幸隆の采配を合図に太鼓が打ち鳴らされ、槍先を綺麗に揃えた真田隊は勇躍、前方の黒の一団を目がけ、駆け出した。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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