小潮ノ月

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小田原へ

(1558)永禄元年  小田原へ


ずんぶ待ったべ、いやー、すまねがった、すまねがった。
わいが氏忠だして。
遠い所がらまあよぐ来たにし。
そいにしても、夫婦でわいさ会いてっつの、随分珍しの。
わい、こったらの初めでだお。

氏忠が上座に座った。
室の外の、雲のほとんど無い空の太陽のような顔をしている。

この度はお目通りが叶い、誠に有難く存じまする。
氏忠様に置かれましては恙なくご健勝であられ、恐悦至極に存じます。
本日罷り越したるは我が主の意により氏忠様への誼を得、ご尊顔を拝し奉れば此に勝る慶賀は無きものとの仰せにございまする。

あ、要はこれから宜しくっつうんだべ?

あ、ああ。
はい、左様にござります。
( ええと・・ )

話の腰を折られた幸広は、あせった。
頭の中にあった口上に、羽が生えて飛んで行ってしまった。

あ。
お、おほん。

此に控えしは我妻、我が主の命により共に御殿様に拝謁せよとの仰せにござりました。
我が愚妻共々よしなに御取計いの段、何卒御願い奉りまする。

二人は揃って更に深く、頭を床に向けて垂れた。

んだが。
わざわざま、わいみったのの為ってまあ。
んまあ、それどして良ぐ来てけだの、お二人共。
この前はす、わい寝込んでまったして、真田の殿にはえれぐ申訳ね事してまった。
許してけろ、て、お前様ど帰たら良ぐ良ぐしゃべってけねべがにし。
ああ、忘れでだ。
二人供頭上げで楽にしてけねが。

( や、や、や、わあ! )

幸広がゆっくりと頭を上げて上座を眺めた時には、拝謁すべき人物の姿が消えていた。

( ん、何処や?)

幸広が辺りを見回すと、後ろに控えた妻の横で、彼女の手を取り話し掛けている氏忠の姿があった。
何やら熱心に口説いているようだ。
しかしその声は、幸広の耳を素通りしてしまい、唯の一片も残らなかった。

わい、びっくらしてまったべよ。
おめみためんこいおなごだばこれまでわいふとりもみだごどねしてわいのしんのぞうとまるみたに。
このめわいもいげばいがったんだたってなんとももったいねごどしてまったもんだに。
ん、そいでな。
おめさまこのふとどわかいで、んでな。
な、わんどごさよめこさきてくれねべがにし。
そすべ。
それいがべ。
な?

( このこの、だだぼん野郎があ! )

( 顔は人参、頭が浅間山、体が地鳴りして、噴火しそうやわ・・ )

幸広を見た槻乃の目には、そう写った。

( 旦那様のこない怒るとこ、初めて見たわ・・  赤鬼、んん、鍾馗様みたいやなあ。 )

やがて、槻乃はやおら両手を伸し、目の前に迫っている氏忠の両頬をむみょーんと広げて、顔を覗き込んで、言った。

氏忠様。
めっ!

( あ、ああ ・・  御母様っちゃ・・・ )

氏忠は目の前の槻乃の姿に、五つの時に死に別れた母を見出した。
優しかったその瞳。
その慈愛が。

やおら氏忠は槻乃の膝に顔を伏せ、おんおん泣出した。

控えた小姓や清水安秀ら士衆は、皆、決り悪そうに目をそらした。

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私、びっくりしてしまいました。
貴女のような美しい女の人を、私これまで一人も見た事がありませんでしたので、私の心臓は止りそうなのです。
この前、私も行けたら良かったのですが、なんとも勿体ないことをしてしまいました。
それでですね。
貴女様、この人と別れて、そして。
私のところにお嫁に来てくださいませんか。
そうしましょう。
それが良いです。
そうでしょう。
どうですか?

氏忠の言った言葉を翻訳しました。
うーん。
あんまり冴えないです。
標準語では面白くない、ですね。
直訳だからでしょうか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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