小潮ノ月

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幸せ芝居

(1559)永禄二年  幸せ芝居


夕にはまだ少々間がある頃、玄助の家に着いた華那は、母から頼まれた届物をゆめに渡した。
父から送られてきた、干菓子だそうな。

( あすこの嫁はんと孫娘が大好きやから、お裾分や。 )
ゆめは、若い頃には一座の花形として興行をしていて、一番最初に華夜叉を名乗ったと母から聞いている。
( 玄助爺は、その頃何しておったん? お婆はん、見初めたんやろ?)
( さあなあ、あん人達に聞かんと分らんけど、きっと話さへんやろな。 )

母からの届物を渡し、帰ろうとする華那に、ゆめが茶を勧めた。
草木の葉などを焙じたものだが、良い香りがした。

この頃あんさんの舞、柔こうなりましたなあ。
何か良い事でも、あったんか?

ゆめがゆったりと話し掛ける。

良い事いうたかて・・

華那は頬が火照ったのを気付かれたような気がしたが、ゆめの表情からはそれと窺い知る事はできなかった。

お婆はんはどうして玄助爺と一緒になったん?

どうして言われてもなあ。
ほほ ・・ 昔、昔の事やて、忘れてしもた。

あのなあ ・・

・・

傾いた日の光が木々の間を差込む路を、華那は館へと歩いた。

人の気配を感じた華那が後ろを振返ると、風呂敷包を背負った百姓らしい若い男が歩いて来る。
歩みの早さからして、直に追いつかれるであろう。
華那は、広くなった路の端で立ち止り、男が通り過ぎるのを待つことにした。

( ん、何?)

華那と男の間には、山へ続く小路がある。
その小路を走り下ってきた童が立ち止り、来た方に向って舌を出し、尻をはだけ、手でペンペンをした。
童の名は、思い出せない。
別の誰かが、その童に向って一尺余の木っ端を投げた。
それは木刀にも見えた。
そして、それは見事な飛行線を描いて童へ向ったが、頭の上一間程を越えて、華那の後ろを歩いて来た男を目がけて飛んだ。

( あ、当る!)
よけてえっ!

華那が叫んだのと同時に、その男はスッと身を落して引いた。
男の頭があった筈の所を、木っ端がひゅんと抜けていった。
そして男は姿勢を直し、何事も無かったかのように歩み出した。

( え! あの身のこなしは・・ )
( うちが教わったんと一緒やわ。膝を抜いて一瞬で体を動かす・・  )

通りすがら、男は華那の前で軽く頭を下げた。

( 三三郎様と同じ位の背格好やわ。 真田の里には、まだ、大した手練がおるんやな。 )

やがて男は、緩やかに下る横の小径に向きを変えた。
後ろを歩く華那は、男の歩く姿をぼんやりと眺める。
若い女と、手を繋いだ女童が立っていた。
その子が走り寄り、男の腰にじゃれた。

お父はん、お帰りい。

待っていた女に相対した男の仕草が・・ 
掌で鬢を漉き耳から下がり、指を顎に止める。
柔らかな笑みを造って相手を見詰めるその表情。
それが華那の想う人のものと重なった。

( いややぁ ! )

やがて男は女童の手を引き、ゆっくり小径を歩いて行った。
華那はきゅっと口を結び、両手で覆った顔を上に向け目蓋を閉じた。
やがて、駆けるように館へ向った。

・・

華那は館の前で足を緩めた。
一歩、ゆっくりとまた一歩。

( 華那、 玄助爺の生業て、なんやったん? )

( うちのあほ。 なんで気付かへんかったんやろ・・ )



館の、裏の引戸がずずっと鳴った。
陽那は、しょんぼり肩を落した我子を見た。

華那 ・・?

お母はん・・うち、あかんの、もう、あかんねん。

使いから帰った華那は母の胸でひたすら泣き続けた。

― ― 了 ― ― 


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エンディングはもちろん、幸せ芝居 by 中島みゆき です。
ストーリーも歌詞を下敷にしたもので、あらすじは初期の頃に考えてました。

華那は三姉妹の中ではあまりキャラが掴めてませんでしたが、これからは真面目に男漁り、もとい、ボーイハントに精を出す事でしょう。

三姉妹の設定は、性格は 乱馬1/2(高橋留美子) の三姉妹に準じています。
由貴は うる星やつら のおユキさんに愛嬌を足した感じ。
槻乃のモデルは 竹内まりや (シンガー) で、セーラームーンとは全く関係ありません。

お知らせ。

次のお話ができるまで、またしばらく休みます。




テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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