小潮ノ月

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幸せ芝居

(1559)永禄二年  幸せ芝居

姉様、三三郎様との稽古な、この頃なんやこう嫌な感じする時あるんやけど、なんでやろな?

えー、ほんま?
そない贅沢な事いうて。
三三郎様、えらい美形やんか。
若いし、睫毛長いし、美声やし、優しいし。
うちが変りたいくらいや。

・・そやな、口吸でもしてもろたらよろし。
天にも昇る気持になるんやで。

由貴が華那の顔を横から確かめながら続けた。

この前嫁いだ姉様もうっとりした顔で、言うとったえ。

( どうせ姉様に聞いたって同じこと言うやろ。 ほんまにこの頃は・・ 見る度、幸せちいちいぱっぱや。)
( それに橘屋に来る客も言うとったし~、うん、書棚に在った黄本にも書いとったな。 )

ちゅうって何?

ほら、口吸(ちゅう ♡ )。
華那、知らんの?
ふーん。

由貴の両方の口端が僅かに上がった。
華那は少なからずムッとしたが、言返すのは止めにした。
口では由貴に敵わない。

・・・

笛を携えた三三郎と鼓を持った華那が、一合奏を終え、縁側に腰を下ろした。

三三郎様、うちに、ちゅうをしてくれまへんやろか。

ちゅう 、 でっか?

口吸 ( ちゅう ♡ )、ゆうてましたん。
え~と、姉様達が、確か 、こう。

へえ、え・・え?
それ、今、でっか?

へえ。

華那がこくんと頷くのと合わせるかのように、二人の前に雀が一羽、舞降りて、飛立った。
ちゅん、という鳴声が残った。
その後をすぐに二羽が舞降りて来て、同じ方向に飛び去った。
ちゅん、ちゅん。

華那は目をつむって、じっと待っている。
あまりにもあっけらかんと言われたので三三郎は少々呆れたが、思い直した。

( 風が向いてきたんやろか。けど、ここからを大事にせにゃあかんな。 )

・・

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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