小潮ノ月

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幸せ芝居

(1559)永禄二年  幸せ芝居

みつ、さ、ぶ、ろう、様。
うふ。
お久しうござりました。
ん、なかなか三三郎様は真田の里には、居らはらしまへんのやなあ。
え、京におったんどすか。
ああ、阿続の方様のつてで。

続は今は阿続(あつ)の方と呼ばれている。

うちも、行ってみたいわあ。
あ、今度三三郎様から、芸事や剣を習いなさいってお母はんから言われましたんどす。
三三郎様は剣もお強いんやてなあ。
お母はん、言うてました、そんでうちは驚いてます、んで、そんで、そこ、ちょこっと嬉しおす。

華那は自分より頭一つ背が高い、三三郎の周りを一回りしてから言った。
男は志野村三三郎という。
以前の甘く整った姿に、今は鋼の様な芯が出来たようで、それを見出した華那は誇らしい気分であった。

・・・

剣と舞は、一緒でおますなあ。
足運びが、大事なんやで。
お尻落して摺足で・・ これが舞の形。
摺足は剣の基本。
そうやな、板の間に豆を播いて、摺足で歩く稽古。
外を歩く時は、草履やのうて一本歯の高下駄を履くとよろし。
ああ、ほれここに、ほら、これを。

へえ、それやとうち、まるで天狗はんみたいやね。

そやなあ、天狗は昔から剣の師とも言うてるし。

・・・

ほれ、ころん、丸まってや。
受身がよう出来ると板間でもちいとも痛うないで。

・・

木刀のかわりにこれを、使いまひょ。
これ、上州は長野家から貰うたんやで。
割竹を結んだのに皮を被せたもんでの。
体に強う当っても、まず死ぬ事は無いやろて、思いますのや。
ほら。

へえ、そうやの。
あ、これ軽いわ・・ でもちょいと、頼りないちゅうか。
ま、これでもいいか。

( 軽い、やて? この娘の腕力は男並やな。 )

・・

では、参る。

では。

互いに一礼後、華那はゆったりと上段に構え、三三郎は下段に剣先を置いた。

( ほう、これは。)

三三郎は内心、舌を巻いた。

( とてもとても。 女子の剣とは思えんなあ。)

華那は鶺鴒の尾の様に何度か竹剣の先を上下させていたが、やおら裂帛の気合とともに、三三郎の頭上に目がけて振下ろした。

え・・ ( 消えたんか?)

すぐに体制を入替え、前を向く。
そして、また上段に構えた。

( おかしい、なんでやの?)

二回目も、三回目も、ほぼ同じ様であった。
しかもその都度脇腹と小手に、痛打とは言えない程度の剣跡を覚えた。

華那は面食らった。
上段からの剣筋を、これまで受けられた事はあっても躱されたことは一度としてなかったからである。
しかもこの相手は、その都度必殺の証を華那の体に記した・・

( なんやの? これ )

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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