小潮ノ月

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小田原へ

(1558)永禄元年  小田原へ


覚えてはります?
うちが十二の時どした。
お寺で手習した帰りに、旦那様が弓の稽古が済んで帰る所で会うたんやったなあ。

~思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを
と歌うたら、

・・逢うことを息の緒にする身にしあれば絶ゆるもいかが悲しと思はぬ・・

そう返してくれはりました。
そん時なあ、この胸が、きゅーんとなったんどす。
うち、絶対この御方んとこに嫁ぐんやと、固う心に誓いましたんえ。

〈 あれはお祖母様から習うた歌や。あの時つい口から出てしもうたんやった。 〉
〈 お祖母様言うとったなあ・・ 〉
〈 「十四郎、なんぼ武芸に秀でておっても、それだけじゃあつまらんで。 十四郎が、ほんまええなあ思う女子に歌を返す時はな、何を歌われてもこれだけでええ。一度だけ歌い返して、後は歌のことはよう知らん位のこと、言うとけばええのや・・ 」 〉

幸広様のこと、お母様にだけは、話といたんえ。
うちの嫁ぎ先やったら、海野家の幸広様にお願いします言うて。

七つの頃から遡ってきた槻乃の語りは、ようやく十五の春までたどり着いた。
幸広は、せめてこの一月前に辿り着くまでには、酔いが醒めてくれる事を願っていた。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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