小潮ノ月

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御接待

(1558)永禄元年  御接待

・ 

そろそろあれの手配を頼むで。

客人へ酒肴を配り終えた続に、幸隆が囁いた。

それから、やがて。

槻乃、由貴、真菜、高麗が、舞扇を携えて入ってきた。
横には控えて続が鼓、まだ若い優男が笛。

初めに高麗が、たどたどしく、しかし元気に舞った。

安藤芳正は、小田原にいる末の娘と似たその姿に口元が緩むのを感じた。

後ろに控えていた真菜は横に華那がいないのを不思議に思った。

〈 華那はんの方がうちよりずっと上手なのに、何でここに居らんのやろ・・ 〉

・ ・

次の日の朝、槻乃と由貴が清水安秀の前に朝餉の膳を運んできた。

清水様おはようござります。
安藤様は先程朝餉を済ませられまして、厩へ行ってます。
清水様にはゆっくりお食事済ませてかましまへん言うとりました。

面目ない。
どうも昨日は面白うて、ちょいと飲みが過ぎた様でな・・

清水安秀はタワシのような髭を擦りながら言った。

一礼をした槻乃が優雅に立上がり奥へと歩む。

安秀の目が、後姿をちらと追った。

〈 はー 、氏忠様の嫁御にいがべな。あのおなごだば、ちょべっとは氏忠様の悪い癖も治るど思うんだたって・・ 〉

不躾ながら清水様に申上げます。
姉に目付けてもあきまへんえ。

〈 うっ 〉
な、なんでだべ、いや、あの、おほん。

姉はもう、札付きでございます。
売約済にございますよってなあ。

札付きで、ばいやくずみ??

はい。

それは、つまりは・・

嫁ぎ先が決っている、ちゅうことですねん。
もうちょっと早うなら、なんとかできたかもしれまへんなあ。

空になった椀に由貴が茶を注いだ。
いたずらっぽい視線が安秀の髭を撫で、姉と同じ様で奥へと消えた。

― ― 了 ― ― 

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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