小潮ノ月

SD(ボークス社)に関するブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

御接待

(1558)永禄元年  御接待 
これはこれはお二方、遠路はるばるのお越しにて痛み入りまする。
幸隆でござる。
どうぞ、お楽にして下され。
なに、堅苦しい話などするつもりはございませぬ。
この真田とご両家との仲を、ちょっとばかり風通しようして貰えればよいので、他意はござらぬ。
まあ、酒でも酌み交しながら近況などお聞かせ願いたいと思いましてな。

ああ、我子達でござる。

源五郎にございます。

源次郎にございます。

小源太でございます、よろしゅうお頼み申します。

よろしゅうお頼み申します。

対に座った女子達も、皆一緒にお辞儀をした。
高麗が左右を見てからクスリと、声をたてずに笑った。  

子らが一礼して立上がった時、幸隆が声を掛けた。

小源太、お前の母にな、ここに来るようにと、言ってくれんか。

やがて、槻乃と続が膳の上に厚手の黒漆の椀に茶を入れて持ってきた。
懐紙の上に四角な干菓子が添えてある。
槻乃がゆったりと奥に下がった。

これはつづと申してな、縁あってここに居るのじゃが、天文十五年までであったか、前は松山城に居ったそうだ。
そうだっけな?

続と申します。
お初にお目に掛ります。
どうぞ宜しゅうにお願い申上げます。
はい、松山城に居りました。

という事は、川越の戦のときの・・

安藤殿、その通りでござる。
夫は上杉朝定殿。
あの戦の折の、朝定殿の事を知りたいと申すでな、後程聞かせてやってはくれませぬか。

では、御正室の?

いや、続は側室であったそうだ。

私はその時はまだ初陣してはいなかったもので・・

では安藤殿、後程お願い致しまする。

わかり申した、出来るだけ思い出しておきまする。
あれ、この茶は?

鮮やかな緑色が黒い漆肌に映える。

粉茶を溶いたものでござる。

なるほど。

あ!
はは~ぁ。
風雅なものでございますなあ。

あ-、なるほど、なるほど。

椀の底に、月の下に遊ぶ兎が跳ねていた。

・ ・

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://h2211g3n.blog136.fc2.com/tb.php/252-0e346f99
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。