小潮ノ月

SD(ボークス社)に関するブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

華の舞

華の舞
天正十年(1582 )  

 ・  

武田に渡した黄金は痛かったのう。

それでもまだ、御倉に半分は残っておりまする。

新発田の様子はどうか。

まだまだ当分は掛ろうかと。
織田が越前より軍勢を進めておりまするが、とてもの事、我が軍は裂けませぬ。

苦しいのう。

苦しうございます。
されど手立てはまだ、ござります程に。
我が思いを申さば・・・ 

 ・  ・  ・ 

眼を閉じた兼続の頭を膝の上に乗せ、華夜叉が部屋の外に声をかけた。

お頼み申します、お頼み申します。

障子戸がスッと開き、若者が二人顔を向けた。

お殿様はこの通り、お休みになられました。
よっぽど、お疲れでしたんやろなあ。
どうぞお床にお連れさして下さりませ。

二人は部屋の中に進み、主の頭と体を支えた。
華夜叉はすいと膝を抜き、改めて二人に向って頭を下げた。

もったいなくもお殿様にはあんじょう善うして貰いました。
どうか宜しゅうお伝え下さりませ。

華夜叉はスッと立上がり衣擦れの音と共に踵を返した。
艶やかな香が羽衣のように二人の若者に掛った。
二人は引きずられるように顔を向けた。
が、やがてハッと気付いて顔を見合い、慌てて主を奥へと運んで行った。

― ― 了 ― ― 

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://h2211g3n.blog136.fc2.com/tb.php/248-eac718a3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。