小潮ノ月

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華の舞

華の舞
天正十年(1582 )  

そちは京の者であるか。
〈 何という色香よな。もしもお船がおらずば、飛びついたかもしれぬ。 〉

いえいえ、実は自分でもようわかりまへんのどす。
幼い頃、どこぞより買われて来たようですねん。
京の桂という所で育ちましたんどす。

して、その方は真田殿とは親しいのか?
昌幸殿は何を望んでおるのかのう。
〈 真田の女狐は大層美しいと聞くが、こ奴もその類であろうか。まあ用心にこした事はあるまい。 〉

真田の殿様は祭の時などに時々うちらを呼んでくれはります。
有難い事に、それはそれはご贔屓にして貰うてます。
時々はこないして、お届物など頼まれますのんえ。
殿方の手で渡すより趣があってよろしいと、思ってるのとちがいますやろか。
これも、頼まれたんどす。

華夜叉は包をほどき、木箱の中からギヤマンの瓶を取りだした。

これは南蛮からの渡物、葡萄の酒から造った焼酎とか、聞及びました。
これも一緒に、春日山の御館様に、との仰せにござりました。

それは殊勝な申出、御館様もさぞお喜びになるであろうのう。

こちらの少し小さな瓶のものは、お殿様に召上がって頂きますれば。
お毒味も兼ねまして、うちも少々お呼ばれしとうございます。

うむ、よかろう。
陽次郎、入れ。

高坏と酒杯を持って参れ。

話には聞いていたが、本物は初めてであるな。

かなり、お強いお酒とか。

ふーむ、香りは佳いの。
越後の者は酒は強いからの。

まあ、ほほ。

殿、これに。

うむ、ご苦労。

お殿様のとうちのぶんと。
お注ぎさせて貰います。

あれあれ、この帷子は品がよろしうおますなあ。
奥方様のお見立てでっしゃろか。

ああ、確かに妻の誂えだが。
何かな?

そう言えば、奥方様とはまだまだお熱いんでっしゃろなあ。
お羨ましい事。
さ、お一つどうぞ。
うちもご相伴さしてもらいます。

確かに強いな、これは。
しかし、美味い。

はい、それはようござりました。
気に入って貰うて。
あらまあ、ほんに良い香りでおますなあ・・

 ・ ・

して、真田殿は如何しておられるか。

真田の殿様は、相変らずのご様子どしたなあ。
特に病気してはる様子も無し、城下の村やなんか歩き回っているようどしたえ。

 ・ 

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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