小潮ノ月

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砥石落し

砥石落し
天文二十年(1551)  
次の日、夕餉のしばらく後。

源五、いや源三様、これを。

飲むんか?

はい。

しょっぱい。
味噌みたいな味やな、何やこれ。

たまり、でございますがな。
たんまりとありますれば。
水ですこし薄めてますよって、飲みやすいでっせ。

飲みやすい、て言うてもなあ。
これ全部、飲むんか?
げげげ。

大丈夫。
死にやしませんよって。

頼満が源五郎の顔を観ている。
やがて。

〈 さてと。そろそろいいかいな・・〉
源五郎様。

わかってる 。
〈 うわ、本当に気持悪うなってきたわ。〉 

殿居の詰めた部屋の前で声をたてた者があった。

お願い申します、お願い申します。

何事か?

若君が、源三様がなにやら容態がおかしいのです。

何?

殿居の若衆が駆けつけ、様子を窺った。

これは ・・・ ?!

看れば目が血走り、息も荒い。
脈も、早鐘のようである。

はてさて、誰かおらぬか。
いや先ずは、医師を呼ばねば。
医師だ、医師だ。
〈 落着け、落着け。人質に何かあっては一大事。あ、御館様にも知らせねば。 〉

若衆は急いで駆け出した。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

三日後の夜、守役の矢沢頼近が慌てふためいて城を訪れた。
荷車十二台を引連れてだが、荷と言うよりは藁屑や芥を山盛に縛り付けて来た、と常人なら見るであろう。

若、若、ご無事か・・・ ご無事か・・・

あ、これは、これは。

近づいた者に遅まきながら気付き、頼近が一息ついた。

信濃守様。
若、いやいや、源三は如何で。

あー、案ずるでない。
今は大分回復しておる。
食もすすんでおるようじゃ。
心配ならば会っていくが良かろう。
何なら一晩、泊っていっても良いぞ。

は、は、は-っ、有難く、有難く・・

頼近が膝を地面にすとんと落し、深く息をついた。

有難う存じまする。
では、では、お言葉に甘えますれば。

〈 なんだあれは。まるで祭の山車ではないか。よほど慌てたと見える。まあ、無理もないか。 〉

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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