小潮ノ月

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砥石落し

砥石落し
天文二十年(1551)  
明けて天文二十年、村上義清は砥石城に来ていた。
砥石城は、西北は千曲川添いの北国街道から東は真田郷、上州道まで一望にできる。

〈 真田の書状に寄れば、武田は又しても此所を攻める気配とか。
確かに殿城山にはその動きがあるが。〉

殿、真田の使者が参りましてございます。

うむ、わかった。
待たせておけ。

半時後。

この度は我が真田よりの申出、心よくお受け頂き誠に有難く存じまする。
これなるは真田隆幸が三男、源五郎にございますれば、信濃守様におかれましては格別のお引立てを賜りたく、よろしう御願い奉りまする。

真田源五郎にございます。
信濃守様に於かれましてはご機嫌麗しゅう存じます。
この度の御拝謁、恐悦至極にございます。

先導の守役、矢沢頼近と源五郎、後ろに控えた供の若者三人が揃って頭を下げた。

うむ、苦しゅうない。
善きにとり図ろう。
で、この度の事、武田へはどう図ったのじゃな?

は、この源五郎めは出家して、先月より長谷寺のつてで紀州の寺に居る事となっておりますれば、このこと、くれぐれもご内密に。
これよりはこの源五郎めは、名を 「升田源三」 、と、お呼び下さりますよう、御願い申上げまする。

あい判った。
よかろう。
使者の段、大儀であった。

ははっ ・・

〈 では若、ご武運を。 頼満、充吾、太一郎。 頼むで。 〉

一抹の不安と未練を捨去り、頼近は帰路についた。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

〈 ふーむ、真田の小倅めが、なかなかやりおるわ。こりゃ、武十丸の小姓に良いのう。楽しみじゃて。それに殿城山城の様子を観るに、わしが後十日と居ずとも、葛尾城へ戻っても良かろうて。 〉

御館様、真田より荷車が参っております。

ほう、またか。
で、今度は何だ?

は、米俵が三台、つづらが二台でございます。

そうか。
有難く貰っておけ。
荷はよく改めるのだぞ。

ははっ。

糧米を備蓄する倉の前で、兵卒が話している。

はっはっはっ、これはこれは。
何だあ何だあ、これはあ。
一番上だけ米俵、下はごそっと石と土と藁束なんだでよー。
この前も、つづらの荷の半分は藁だけびっしり詰っておった。
真田は、何考えてんだあ?

ふふっ、見栄を張りたいんであろうよ。
さて、もう暗いでな。
さあ、この米俵をば中に仕舞おうぞ。
荷車はそこに並べておけ。
後は明日でよい。
急げ。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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