小潮ノ月

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砥石落し

砥石落し
天文十九年(1550)  
初冬も過ぎた頃、砥石城内の館に居る村上義清の下に書状が届いた。

真田が尻尾を振って来よったわ、ふふん。
景国、これを見てみよ。

・・この度は真田幸隆が一子、源五郎を村上殿にお預けしたく・・
これは、人質を差出すと?

その様だの。
この前の戦、我が城に押寄せた武田の軍勢一万をさんざんに蹴散らしてやったのだが、何か考える所があったのかもしれん。
幸隆めが・・二股を掛けるつもりか?
まあ、こちらとしては拒む理由は無し、むしろ好都合というものだがな。
はっはは・・。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

後に砥石崩れと呼ばれた合戦の終り頃、武田晴信の軍勢を見送った幸隆は真田山城に帰還した。

幸隆は独りごちた。
〈 今度の戦は・・武田軍の完敗や。晴信様も、まだ若い。 〉

お前様、ようようご無事で戻られましたなあ。

命を拾うて来たわなあ、やれやれじゃわ。

お父上様、お髭、痛い。

お、華那、すまんかった。
皆、どうやら変わりないな。

幸隆は陽那に向って言った。

わてらには地元やし、逃げるんは得意やからなあ。
まあ真田の者にはさほど死傷はでとらんようや。
御館様の軍勢は上手く先導できたことやし、追い方への撹乱もまずまずやった。
さあてと。
明日は御館様に会いに躑躅ケ崎館へ行ってくるよってな。
〈 先ずは、先立つもんが要るわな。 〉

十一日後。

幸隆は諜者の長、玄助と話していた。
玄助の髪と髭は雪の色に近い。

葛尾城には今、手の者が何人居るかいな。
砥石には?

葛尾には十人、砥石に四人でございますな。

今回は腕の立つ者はそんなに必要ない。
人数が要るのや。
義清が、どっちに居座るか、なんやけどな。

砥石の方が良いのでございますな。

無論や。
そうさせてみようとは思うとるんやが、乗ってくれるかどうかやな。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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