小潮ノ月

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寒霞 

寒霞 

天文二十一年(1552) 


霞が戻った。

一座の公演の旅から帰る途中、病に冒されたのであった。
真田郷へ三日程の場所で帰らぬ人となったのである。
冬の初め、山裾から降りてくる風が冷たい日であった。

華夜叉一座に華夜叉がいのうてはのう。
霞程の華のある舞手、そうそう創れる筈もなしや。
やれやれやなあ。

真田は小国の割には諜者の数が多い。
幸隆は諜報に重きを置いている。

〈 情報は大事や。真田のような小勢が、敵を知らねば戦にならへん。 〉

華夜叉のように何処でも引く手数多、国主にさえ召出される事もある花形を失うのは、幸隆にとっても真田にとっても大層な痛手であった。

〈 おねえちゃん、眠ってはる 〉
〈 おねえちゃん、お目々あけて 〉
〈 眼-あけて、おねえちゃん・・ 〉

霞は華那とよく遊んでくれた。
華那の手を取り一緒に、舞の手や太鼓を打ってくれた。

華那の目が熱くなった。
目の前に霞がかかる。
華那は仄かな笑みを浮べた霞のほおにそっと触れた。
熱い滴が華那の手を伝い、冷たい肌に達した。

〈 おねえちゃん・・ 〉

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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